テレビや新聞で見かける経済に関する専門用語の意味を理解していると仕事や勉強の理解が深まります。もちろん株取引においても経済の専門用語を知っていれば売買に役立ちます。
このページでは経済の専門用語のうち、次の経済指標について簡単に説明いたします。
経済指標は、株の値動きの短期~中期的なトレンドを把握するのに役立ちます。
GDPは、Gross Domestic Productの略称で、日本語で国内総生産といいます。
国内総生産は一定期間内に国内で産出された付加価値の総額を意味します。ここでいう付加価値は財とサービスの売上総額ではなく、売上高から売上原価、販売費および一般管理費、経常損益等を加減した後の利益相当額になります。
GDPは国の経済規模の大きさを測る指標として使われ、日本はかつて国内総生産世界2位を誇っていました。
経済成長率はGDPの増加率を表しています。ここで経済成長率を簡単な式で表すと次のようになります。
当期GDP ÷ 前期GDP = 経済成長率
GDPは物価変動を考慮するか否かで名目GDPと実質GDPに分かれます。名目GDPは実際の取引価格に基づいて推計され、実質GDPは物価変動要因が取り除かれて推計されます。そして両者には次の関係が成立します。
実質GDP × GDPデフレーター = 名目GDP
GDPデフレーターとは名目GDPを実質GDPで除して求める係数をいいます。GDPデフレーターは国内生産品だけを対象とし、この値が上昇すると国内の物価水準が上昇していることを意味します。
以上GDP、経済成長率、GDPデフレーターの3つの値を見る事で、国内総生産が伸びた要因が経済成長とインフレのどちらなのかを把握することができます。
景気動向指数は、景気の現状把握と将来予測に資するために作成された景気指標です。その内容は、新規求人、小売販売、設備投資など種々の経済活動の中から重要かつ景気に敏感に反応する指標の動きを統合したものです。
ニュースで取り上げられる有効求人倍率や商業販売額などを手掛かりに景気の動向を探ろうとするのが景気動向指数です。
景気動向指数は「系列」と呼ばれる指数を30ほど用いて評価・測定して、それらをまとめたコンポジット・インデックス(CI)とディフュージョン・インデックス(DI)の2つの指標を求めます。
系列は景気に先行して数値が変動する先行指数、景気に一致して変動する一致指数、景気に遅れて変動する遅行指数の3つがあり、採用されている系列数は、先行指数11、一致指数10、遅行指数9となっています。
CIは景気に敏感な指標の量的な動きを合成した指標で、主に景気変動の大きさや量感を測定するのに適しています。近年、景気変動の大きさや量感を把握する重要性の高まりを受けて、CIを中心に情報公開されています。
DIは30系列のうち改善しているものを全体で除した割合をいいます。例えば一致指数が50%を超えていれば景気は拡大していると判断します。DIは景気拡張の動きが各経済部門へどれくらい波及しているか測定する事を目的としています。
日銀短観とは、日本銀行が景気の現状と先行きについて企業にアンケート調査を実施し、その結果から日本経済の過去、現在、未来について分析把握した結果を発表したものを言います。
日銀短観の中で特に注目されるのが業況判断指数(DI)です。業況判断指数(DI)は次の計算式で求められます。
業況判断指数(DI) = (1) - (2) 単位は%
(1)業況が良いと回答した企業数/アンケート回答企業数
(2)業況が悪いと回答した企業数/アンケート回答企業数
消費者物価指数とは、総務省が毎月発表する、消費者の手にわたる段階における財やサービスの価格の総合的な水準を示す指標をいいます。分かり易く言うと、私たちが日頃買物するときに感じる、「高いなあ、安いなあ」といった感覚を数値化したものです。
戦争や伝染病の流行と言った異常な経済環境を理由とする場合を除き、消費者物価指数は、景気が良いと消費者物価指数は上昇し、経済が停滞すると上昇率が鈍る傾向にあります。
月例経済報告は、日本政府が月次で景気について示した公式見解です。
鉱工業生産指数とは、鉱工業製品の生産業を営む企業がどれだけ製品を生産したかを示すものです。一般的には付加価値額で計算されます。
機械受注実績とは、内閣府が機械製造業者にアンケートを実施して、企業から受注した1か月間の受注状況を集計把握して発表したものをいいます。
設備投資として機械を発注した段階で把握した数値なので、半年から1年先の設備投資の動向を示す指標と言われています。
機械受注実績は一般的に景気動向の先行指標として利用されます。
家計消費支出とは、家計が1か月間にどの程度の消費をおこなったかを示す指標をいいます。家計消費は国家の経済成長を牽引する重要な要素であり、国の経済成長率の約6割が家計消費に依存していると言われます。
完全失業率とは、15歳以上の働く意欲のある労働力人口のうち、仕事を探しても仕事に就くことのできない人の割合をいいます。
完全失業率 = 完全失業者/労働力人口
労働力人口 = 従業者+休業者+完全失業者
完全失業者とは次の3つの条件を満たす者をいいます。
(1)仕事が無く調査週間中に少しも仕事をしなかった。
(2)仕事があればすぐに就くことができる。
(3)調査週間中に仕事を探す活動や事業を始める準備をしていた。
※調査週間とは総務省が毎月行っている労働力調査の週間をいいます。
完全失業率は、上記景気動向指数の遅行系列に該当するので、完全失業率が上昇すると景気の後退局面にある事を確認できたと判断します。
有効求人倍率とは、企業からの求人数を公共職業安定所に登録している求職者で除したものをいいます。
有効求人倍率 = 有効求人数/有効求職者数
有効求人倍率は景気動向指数の一致系列に該当します。景気後退の真っただ中えは数値が悪くなり、景気拡大局面においては数値が良くなります。
日銀金融政策決定会合とは、日銀が金融政策の運営に関する事項を審議・決定するための会合をいいます。
会合終了後に、日銀総裁が今後の金融政策の方向性などについて記者会見で発表します。金融緩和政策を維持するかどうか、金利をどうするか等を話すので、この会見で日経平均株価が大きく上下動する場合があります。
M1とは現金通貨と預金通貨の合計をいいます。
M2とはM1に定期性預金と譲渡性預金を加えたものです。M2は発行主体を日本銀行および国内の主たる銀行並びに中央金庫等に限定して集計されます。
M3とはM1に定期性預金と譲渡性預金を加えたもので、発行主体をM2より範囲を拡大して集計したものです。よって金額はM2よりも大きくなります。
広義流動性とは、M3に金銭の信託、投資信託、金融債、銀行が発行する普通社債、金融機関が発行するコマーシャルペーパー、国債、外国債を加えたものをいいます。
マネーストック統計とは、金融部門から経済全体に供給されている通貨の総量を示す統計をいいます。
日本銀行は上記M1、M2、M3、広義流動性の4つの指標を作成・公表しています。
どの指標に重きを置くかは時代によって異なります。かつては「M2+CD」で表されるマネーサプライが重視されていました。現在はそのM2+CDの後継指標であるM2が中心統計となっています。
マネタリーベースとは、日本銀行が供給する資金量を示す指標であり、紙幣と貨幣の発行高と金融機関が日銀に預けている当座預金残高の合計をいいます。
マネーストックが企業や家計の保有するマネーの量を表すのに対して、マネタリーベースは日銀が供給する通貨量を意味します。
マネーストック統計とマネタリーベースの関係を図で表すと次のようになります。
誤解を恐れず申し上げると、マネーストックは金融機関の貸借対照表の負債の部の残高(の大部分)であり、マネタリーベースは日本銀行の貸借対照表の負債の部の残高(の大部分)です。
マネタリーベースとマネーストックの関係を感覚的に理解できていれば、金融政策の理解が深まります。
国内円金利のうち長期金利動向を主導しているのが、10年物として発行される新規発行の長期国債の市場利回りです。この利回りの変動を受けて、長期プライムレートや政府系金融機関の基準貸出金利などが連動して動きます。
長期国債市場売買利回りには、取引所利回り、(日本証券業協会公表の)売買参考統計値、業者間利回りの3つが併用されています。
内外金利差の変動は円ドル相場に大きな影響を与える傾向にあり、米国の株価の行方を占う上でも米国の長期金利は重要となります。
米国の長期金利の代表とされるのが10年国債の市場売買利回りになります。